
AIの新機能を知るたび、「これで仕事が早く終わるかも」と期待する。一方で、空いた時間に別の依頼が入れば、一日の予定は埋まったままです。ここで考えたいのは、道具の速さと、働く時間の決め方を分けることです。
一つの作業の時短は、一日全体の時短とは違う
パーソル総合研究所が2026年2月3日に公開した調査は、生成AIを使うタスクの所要時間が、未利用時に比べて平均16.7%、週26.4分減ったと報告しています。勤務時間全体が16.7%減った、という数字ではありません。
- 出典・調査結果rc.persol-group.co.jp
本調査の対象は正規雇用者3,000人で、生成AI利用群と非利用群が各1,500人。調査期間は2025年10月24〜28日です。全国の就業者19,855人を対象とした事前調査とは、対象が異なります。これは9月の新しい調査ではなく、国内の働き方を考えるために読み直した資料です。情報確認日は9月24日です。
- 出典・原報告書・調査概要rc.persol-group.co.jp
報告書は、生成AI利用者のうち業務時間が削減できた人を25.4%としています。個々のタスクの短縮率と、時間が減った人の割合は、並べても同じものさしにはなりません。
- 出典・原報告書・8ページrc.persol-group.co.jp
こうしたアンケートは、使っている人の状況を知る材料です。それだけで「AIを使うから残業が増える」「使えば誰でも同じだけ減る」といった因果関係までは言えません。
下書きの後に残る仕事を、数えに入れる
ここからは、調査を踏まえた働き方の提案です。AIの応答が速くても、その後には確認、修正、社内の相談が残ります。チームへ使い方を教える時間も必要になるでしょう。
たとえば、下書きが30分早くできても、事実確認に20分使い、追加の依頼に10分使ったとします。これは説明のための例ですが、「作成は速くなった」と「仕事が終わる時刻は変わらない」が両立する理由は見えます。
ゆずふかちゃんが注目したいのは、最後の10分を誰がどう決めるかです。追加の仕事も大切かもしれません。ただ、時間の行き先を決めないまま効率だけを求めると、何のために短縮したのかが見えにくくなります。
記録は、四つの欄だけでもよい
まず一週間、よく使う作業を一つ選んで、次の四つを簡単に残してみる方法があります。
- AIを使う前に、どれくらい時間がかかっていたか。
- 今は、入力から修正・確認まで何分かかったか。
- 品質や、やり直しの回数はどう変わったか。
- 浮いた時間を、何に使ったか。
細かな計測そのものが負担にならないよう、おおよその時間で構いません。成果を隠すか、余白をすべて追加業務へ差し出すかという二択にせず、チームと相談する材料にします。
会議では「何分減らせるか」に加えて、「減らした分をどこへ回すか」まで一緒に決められるとよさそうです。既存業務の改善、学習、休憩、終業時刻の見直しなど、目的に応じて選択肢は違います。働き方や勤務上のルールも踏まえて話し合う必要があります。
新しいツールを覚える時間や、人に教える役割も仕事として見えるようにする。短縮した時間だけを成果と数えないことが、続けて使える仕組みにつながります。
AIの性能表に、私たちの余裕の量は載っていません。次の作業を速くする前に、その先に何を残したいか。そこまでを一組にして考えてみたいですね。
人類に、彩りのあるひとときを。